公開日:2021年11月17日最終更新日: 2021年11月18日
クラウドサーバーを運用している際にアクセスが集中し、サーバーへの負荷が増大した時にはサーバー台数を増やしたり、CPUやメモリなどのスペックを増強したりする必要があります。しかし、クラウドサーバーへの負荷が一定でない場合、アクセスが減った時には増やしたサーバー台数やスペックが無駄となってしまいます。
この無駄をなくすために、クラウドにはオートスケールという機能が備わっています。その他にもさまざまなメリットを持つオートスケールについて解説します。
目次 <Contents>
オートスケールとは
オートスケールとは、あらかじめ設定しておいたサーバーの負荷状況に応じ、自動的にクラウドサーバーの台数やスペックを増減させる機能のことをいいます。
サーバーへの負荷をシステムが自動監視し、アクセスが集中した際はサーバーを自動で増加させ、アクセスが少なくなったときにはサーバーを減らすことができる機能です。
オートスケールにより、常に必要に最適化されたサーバー数のまま、システムを安定稼働させることができるようになります。
オートスケールの専門用語
スケールアウトとスケールイン
アクセスの増加に合わせてサーバーの台数を増やすことをスケールアウトと呼びます。トラブルが発生してサーバーの一部が故障したとしても別のサーバーでカバーできる方法です。スケールアウトを採用することでサーバーの可用性を高めることができ、システムの安定稼働につながるという特徴もあります。
逆に、サーバーの台数を減らして最適なリソースに合わせることをスケールインと呼びます。
このようなスケールアウト・スケールインを自動的に実行してくれる機能のことをオートスケールというわけです。
スケールアップとスケールダウン
サーバー台数を増やすのではなく、メモリやCPUなど、サーバー1台のスペックを増強することで処理性能を上げることはスケールアップ、サーバー1台のスペックを減少させて処理性能を下げることはスケールダウンと呼んでいます。
データの整合性に高い信頼性を求められるデータベースサーバーなどには、スケールアップ・スケールダウンでオートスケールを行うことが多くあります。
オンプレミスとクラウドの違い
オンプレミス(社内サーバー)でシステムを運用する場合に、サーバーの負荷が高まるとサーバー機材の手配を自社で行う必要がありますし、拡張作業についてもシステム運用担当者が行わなければなりません。
それでは、システム運用担当者の作業負荷が増えてしまいますし、サーバーの負荷が減少したときでもすぐにサーバー台数を減らすことはできません。
クラウドのオートスケールなら負荷の増減に合わせて、サーバー台数の増減も自動で行われようになります。オートスケールを利用すればシステム運用担当者の工数や作業負荷を上げることはありませんので、サーバー運用を効率化できるようになります。
オートスケールのメリット
オートスケールを導入することで、以下のようなメリットを得ることができます。これらのメリットを1つずつ説明します。
- 運用コストを最適化できる
- 運用リスクの軽減ができる
- 突発的なサーバー負荷にも耐えられる
1. 運用コストを最適化できる
あらかじめ設定しておいた値で、スケールアウト・スケールイン(スケールアップ・スケールダウンの場合もあり)が自動的に実行されます。
サーバーの台数やスペックの増強が必要なときには自動的に追加され、それが不要になったときには自動的に削減されますので、運用コストを最適化できるようになります。
2. 運用リスクの軽減ができる
システム運用をしている時には、トラブルが発生してサーバーに障害が発生することもあります。
その際、オートスケールでスケールアウトをしていれば、万が一、特定のサーバーに障害が発生したとしても、別のサーバーでカバーできるようになります。運用リスクの軽減にもつながるというわけです。
3. 突発的なサーバー負荷にも耐えられる
オートスケール機能を利用している際には、常にサーバーへの負荷を監視しています。そのため、突発的なアクセスの集中が発生しサーバーへの負荷が高まったとしても、安定運用可能なシステムを構築できます。
スケールアウトやスケールアップでリソース不足やレスポンスの低下を自動的に解消しますので、サーバーダウンなどによるビジネス機会損失を避けることができ、売り上げアップなどへつなげていくことができます。
オートスケール利用時の注意点
オートスケールを利用するのには料金がかかりません。ただし、オートスケール実行のトリガーとなる判定基準は、事前に決めておく必要があります。
「ネットワークからサーバーにどのくらいのデータが送られた場合にオートスケールするのか」「サーバーのメモリやCPUの使用率何%以上の状態がどれだけ継続したのか」といったトリガーの値をオートスケールの判定基準として決めておかなければなりません。
クラウドサービスは利用するサーバーの台数や利用時間によって決まりますので、判定基準を最適化しておかないと無駄なコストが発生してしまう可能性が生じます。過去のデータをよく確認して、最適な判定基準を決めておくようにしましょう。
まとめ
クラウドでは、あらかじめ設定しておいたサーバーの負荷に応じ、自動的にクラウドサーバーの台数やスペックを増減させるオートスケールという機能を利用できることを説明しました。
運用コストを最適化と運用リスクの軽減ができ、突発的なサーバー負荷にも耐えられる便利な機能ですが、オートスケールを発動する際のトリガーとなる判定基準を最適化しておくことが大切です。