AWSのAIにはどのようなものがある?カテゴリーや主要なサービスを解説

公開日:2023年9月19日最終更新日: 2023年9月22日

AWSには多くのAIサービスが存在し、2023年9月現在では、30種類以上が存在しています。そのため「AWSでAIを活用してみたい」と考えても、どのサービスを利用すれば良いのか判断できない人が多いでしょう。

ただ、非常に多くのAIサービスが存在しているものの、AWSでユーザが活用しているサービスは一部に偏っています。今回は、AWSにはどのようなAIサービスがあるのか紹介し、特に利用者が多い代表的なサービスには、どのようなものがあるのかも紹介します。

AWSが提供するAIのカテゴリー

「AI」には色々な解釈があり、機械学習のことをAIと呼ぶこともあれば、実際に動作するモデルをAIと呼ぶこともあります。ただ、AWSでは機械学習が完了し、最適化されたものを「AI」と呼び、具体的には以下のカテゴリーです。

    • 視覚:画像や動画の分析や加工
    • 音声:音声の認識や人間の声の出力
    • 言語:文章の構造化やボット、機械翻訳
    • DevOps:コードレビューや不正な操作の検知
    • IoT:異常なデータの検知
    • ヘルスケア:ヘルスケアデータの分析や情報の抽出
    • 生成系:入力を踏まえて文章やプログラムを提示

大きく分けて、このようなカテゴリーのAIが提供されています。AWSユーザがすべてのAIを利用することはなく、これらの一部だけを利用するでしょう。これからAIを活用したいと考えている場合も、これら一部に絞って、学習や実装を進めていくことをおすすめします。

主要なAWSのAIサービス

AWSにはいくつものAIサービスがあるため、主要なサービスとその内容をぞれぞれ解説します。

Amazon Rekognition

ディープラーニングを活用して、画像と動画を分析するAIサービスです。Amazon Rekognitionをアプリケーションに組み込むだけで、簡単に画像分析や動画分析の機能を実装できます。例えば、画像や動画から物体や人間の顔を検出したり、テキストを読み取ったりすることが可能です。

また、画像や動画の検知だけではなく、その結果を活用したフィルタリングにも対応しています。例えば、戦争など暴力的なコンテンツを検知して、子供には閲覧させないような機能の実装が可能です。

ただ、Amazon Rekognitionのテキスト検出は日本語に対応しておらず英語など海外の言語のみです。そのため、日本で活用する際は、言語の認識に活用できるかどうか必ず評価しましょう。とはいえ、クレジットカードの券面を認識するなど、日本語が含まれていない分野では多くの場面で利用されています。

Amazon Transcribe

音声を認識し、文字列として示してくれるAIサービスです。Amazon TranscribeはS3に保存されたデータを読み取り、その結果をファイルとしてアウトプットしてくれます。例えば、ビデオ会議の内容を録音しておき、それを取り込むことで会話内容をファイルへ出力できるのです。

また、アップデートされ事前に録音しておいたデータの文字起こしだけではなく、リアルタイムに文字起こしする「ストリーミング」にも対応するようになりました。これにより「録音してから文字起こし」という流れではなく、録音せずとも文字起こしができるようになっています。

他にも、音声認識はアップデートが続けられていて、複数の話者を認識したりカスタム語彙を設定したりすることが可能です。話者の認識ができるようになったことで、生成された文章を読み解いて「誰の発言であるのか」を判断する必要がなくなりました。

Amazon Textract

Amazon Textractは、スキャンされたドキュメントデータから手書きを含むテキストやデータを抽出するAIサービスです。JPEGのような写真、PDFやTIFFなど資料で利用される形式に対応していることが特徴です。日本語の抽出には対応していませんが、英語の検出は非常に高い精度であり、多くのアプリケーションで利用されています。

データの検出にも対応していることが特徴で、例えば「表(テーブル)」の認識が可能です。コンピュータで生成された直線はもちろん、手書きの波打った直線でも表として認識できます。そのため、不要な文字が含まれることなく、また表というデータの形式を保ったまま出力してもらうことが可能です。

なお、Amazon Augmented AIと連携されているため、検出した結果についてフィードバックできます。検出結果についてスコアが表示されるため、スコアが低い内容をフォローすることで、より精度を高められる仕組みです。

Amazon CodeGuru

AWSのベストプラクティスを学習し、それを踏まえてAIがコードレビューしてくれるサービスです。Java、Python、JavaScriptのコードレビューに対応していて、セキュリティ脆弱性を検出したり、改善に向けた推奨事項を提示してくれます。ただし、レビュー結果や指摘事項は英語で示される仕組みです。

レビューの対象リポジトリにはいくつもの選択肢があり、例えば以下を設定できます。

    • AWS CodeCommit
    • Bitbucket
    • GitHub
    • GitHub Enterprise

これらのリポジトリからソースコードを読み取り、脆弱性が含まれていないかをAIが診断してくれる仕組みです。リポジトリ全体・一部を指定することが可能であり、大量のソースコードでも、効率よく診断してくれます。ただ、ソースコードが多いプロジェクトでは、コストが高額になる可能性があるため注意しましょう。

Amazon Lex

Amazonが提供する「Alexa」と同じテクノロジーが採用されているチャットボットです。音声やテキストを利用して、Amazon Lexを組み込んだアプリケーションと対話できるようになります。自動音声認識や自然言語理解が含まれているため、複数のインターフェースからの入力を一括で管理することが可能です。

例えば、コールセンターで音声認識を活用すれば、質問内容を解析して適切な部署へと接続することができます。人間が受け付けて振り分けるのではなく、AIサービスが分析して振り分けるような仕組みを実装可能です。また、対話内容を学習させておき、ユーザからの問い合わせ内容に対して、自動的に回答を表示することもできます。

基本的にはAmazon Lex単体で利用できますが、Amazon Connectなどと連携した自動応答サービスなどの構築も可能です。独自のアプリケーションに組み込むことでも、AWSのサービス内で連携することでも、AIの良さを発揮してくれるでしょう。

Amazon Bedrock

2023年4月より展開されている、AWSの生成系AIサービスのプラットフォームです。APIが提供されていて、これをアプリケーションなどに組み込むことで、生成系AIを利用できます。「Titan Text」や「Titan Embeddings」など、言語に関するモデルとの連携が可能です。

標準でモデルの学習が完了しているため、そのままでも生成系AIのサービスを活用できます。また、AIベンダーが独自にモデルを提供しているため、これらを活用することでAWSの提供するモデルとは異なった結果を得ることが可能です。

加えて、Amazon Bedrockは自分自身でモデルを学習させることもできます。学習にあたっては、データを多く用意する必要はありますが、カスタマイズして自社に特化した生成系AIを利用することも可能なのです。

AWSのAIを利用する際の注意点

紹介したとおりAWSにはいくつものAIサービスがあり、これらの活用でビジネスを優位に進められます。ただ、利用にあたっては以下の注意点を意識しておきましょう。

日本語化されていないサービスが含まれる

AWSのAIサービスは、日本語で利用できるものがありますが、対応していないものもあります。また、一部のサービスについては、海外リージョンでしか提供されていないため注意しましょう。使い方などの公式ドキュメントも、英語でしか提供されていないものがあります。

今回紹介したような主要なAIサービスは、優先的にローカライズされている印象を受けますが、日本語に対応していないものも含まれる状況です。画像認識などは影響が少ないと思われますが、言語を認識したり分析したりする際は必ず注意してください。

言語認識にやや不安がある

大規模言語モデルが提供されていますが、日本語については精度が甘い印象を受けます。特に、機械翻訳を利用する場合は、正確な翻訳になっているか確認することが重要です。AWSのAIは全体的に、日本語の学習が遅れているのかもしれません。

実際、AWSの機械翻訳と他社パブリッククラウドの機械翻訳、Google翻訳を比較してみると、結果が少々異なります。もちろん、完全に一致することはありませんが、翻訳のニュアンスが異なっているのです。若干、AWSの機械翻訳は、日本語のニュアンスを汲み取れていない印象を受けます。

コストが嵩む可能性がある

AWSに限りませんが、計画的に利用しないとコストが嵩む可能性があります。クラウドサービスの多くは、従量課金制であるため、コストを確認しながら利用するように意識しましょう。例えば、学習させるデータや分析させるデータが大量であると、コストが嵩んでしまう可能性があります。

特に、コードの分析など大量のデータを処理する際は、想定以上のコストが生じる可能性があります。支払えないような状況にならないためにも、コストマネジメントは重要です。

まとめ

AWSはAIサービスの提供に力を入れていて、2023年9月現在で30種類以上が提供されています。新しいサービスが定期的にローンチされ、AIに関連するサービスは非常に活発です。これからも、新しいサービスが提供されるはずです。

ただ、全てのサービスが万人向けではなく、特定の用途に特化したものも増えています。また、日本語では利用できず英語のみのインターフェースも存在します。自分に必要なものを見極め、それを使いこなせるようになっていきましょう。

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