公開日:2023年8月25日最終更新日: 2023年8月25日
システムのクラウド化が当たり前となり、AWSへの移行を考える人は多いのではないでしょうか。現在は、オンプレミスで動作しているシステムでも、AWS化したいと考えてる人は多いはずです。
しかし、AWSへの移行を考えてはみるものの、不明点が多く段取りが把握できないかもしれません。今回は、移行に向けたよくある不明点を解消し、段取りのイメージを持てるように解説します。
目次 <Contents>
AWSへの移行は不明点が多い
AWSなどパブリッククラウドへの移行は、不明点が多いものです。多くのサービスが展開されていることから「クラウドへの移行は難しそう」とのイメージを持たれてしまいます。
ただ、そもそもシステムの環境移行は不明点が多く難しいものです。移行先がAWSではなくとも、実際に経験してみなければ、分からないことが多いでしょう。この部分を減らすような段取りにしなければ、クラウドへの移行は成功しません。例えば、不明点を解消するための段取りとして以下が考えられます。
- AWSへ移行する対象の確定
- AWSへ移行するコストの評価
- AWS人材の確保
続いては、これらの観点を軸に、どのような段取りで移行の準備を進め計画を立てれば良いのか解説します。
AWSへ移行する対象の確定
すべてのサーバーなどをAWSへと移行することもあれば、部分的に移行することもあります。現在、管理しているものの中で、どれをAWSへ移行するのか、決定しなければなりません。
現状の把握
AWSへの移行に向けて、現状のシステム構成を把握しなければなりません。サーバーを中心として、対象となるものを洗い出し、移行の対象になるかどうかを考えます。設計書などを参考にして、正確な情報を把握するようにしましょう。
多くの場合、現状を完璧に把握できている人はいません。そのため、移行対象は「抜け漏れ」が発生しがちです。ただ、このような状況は作業工数を正確に算出できなかったり、運用後のコストを見積もれなかったりする原因となってしまいます。時間をかけてでも、完璧に把握することを心がけましょう。
移行難易度の評価
すべてのシステムやサーバは同じ難易度で移行できるわけではありません。移行する内容によって、その難易度が大きく変化するため、事前に「難易度の評価」が必要です。例えば以下の観点から難易度を評価します。
- AWSに該当するサービスはあるか
- 設定にあたっては専門的な知識がどの程度問われるか
- 複雑なアーキテクチャは採用されていないか
- 移行にあたって牽引できる担当者は存在するか
主に、技術的な側面から難易度を評価します。AWSへの移行が難しかったり、移行できるもののコストが掛かったりするものは、対象とするかどうか再考したほうが良いでしょう。また、移行にあたってはAWSを理解した人材の確保が求められます。人材を確保できるかも、一種の難易度として評価しておくべきです。
性能面の検証
AWSのようにクラウドへの移行で懸念されやすいこととして「今までと同様のパフォーマンスを維持できるのか」「そもそもクラウドへと置き換えても大丈夫なのか」などが挙げられます。特に、今までクラウドを活用していない場合、このような不安を持ってしまうケースが多いでしょう。
この不安は当たり前であり、移行を計画する段階で検証しておくことが重要です。同様の性能を担保できるかどうかは、一概に言い切れるものではありません。オンプレミスで特殊なアーキテクチャを採用している場合、性能が落ちてしまうことも考えられます。必ず、性能面に変化があるかどうかの検証が必要です。
一般的に、このような性能面の検証では「PoC」が実施されます。本番を模した環境を用意して「移行を実現できるか」「実現できるならば性能は担保できるか」を確認しなければなりません。また、必要に応じて、現状と変化させるべきアーキテクチャについても把握して、移行対象とするかどうかを確定させます。
AWSへ移行するコストの評価
移行することで、コスト面のメリットを期待している人は多いでしょう。また、社内のシステムであれば、コストを示して承認を得る必要があるはずです。続いては、コストの評価について把握しておきましょう。
移行コストの評価
システムやサーバをAWSへと移行するためには、移行時の初期コストが必要です。例えば、AWSを扱うベンダーへの依頼コストや社内で担当者をアサインするコストが挙げられます。IT部門だけではなく、ビジネス部門の担当者をアサインし、コストが増えることもあるでしょう。
コストが高く予算に収まらないならば、移行対象を縮小するなどの判断が求められます。一気にクラウドへと移行するのではなく、段階的に移行することも考えなければなりません。移行コストは、プロジェクトを開始できるかの判断を司る部分であり、より正確な数値の算出が必要とされます。
TCOの評価
現在の環境からAWSへと切り替えることでTCO(Total Cost of Ownership)がどのように変化するか評価しましょう。主にランニングコストを指しますが、部分的には移行コストもTCOに含みます。そのため、上記で解説したコストと組み合わせて評価するようにしてください。
例えば、オンプレミスからAWSへと移行することで、インフラのコストが変化するはずです。サーバの維持コストはもちろん、ネットワークの管理コストやストレージのコストも変化するでしょう。同様に、すべてのコストについて、変化をまとめておきます。
これらの変化を集約し、オンプレミスと比較することで、AWSへの移行にはどの程度のメリットがあるかの評価が可能です。変化する金額や既存のコストと比較した場合の割合などから評価してみましょう。
AWS人材の確保
システム環境をAWSへ移行するならば、継続的なAWSの管理が必要です。これに際しては、専門的なスキルを持つ人材の確保が必要です。
社内での人材育成
中規模以上かつ継続的にAWSを利用するならば、社内で人材を確保した方が良いでしょう。新しいシステムの導入や既存システムの変化に、社内で対応できる体制が理想的です。日頃のAWS運用にも人材が必要となるため、幅広いスキルを持つ人材を育成しましょう。
育成にあたっては、ハンズオンやクラスルームトレーニングなど研修への参加や公式ドキュメントの理解、認定資格の取得を目指した学習などが考えられます。人材の育成には時間を要するため、段取りを吟味しておくことが大切です。
必要に応じてアウトソーシング
AWSを社内で管理することが難しいならば、アウトソーシングする選択肢があります。「社内でAWSを使いこなせるか不安だ」「人材の余裕が少なく、専門的な要員はアサインできない」などの不安があるならば、専門家へと依頼しましょう。
アウトソーシングにあたっては、定期的なコストが生じてしまいます。ただ、社内での人材育成よりはコストが抑えられるかもしれません。また「社内の人材不足」という大きな問題を解決してくれます。小規模な企業で、人材育成のコストや人材のアサインに課題を感じるならば、アウトソーシングを軸とした段取りを考えるべきです。
なお、アウトソーシングするならば、TCOの評価に影響することが考えられます。各種数値を算出する前に、アウトソーシングするかどうかは決めておいた方が良いでしょう。
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まとめ
解説したとおり、AWS移行にあたっては、不明点を解決することが大切です。これらを解決することで、最終的に「AWSへと移行したほうが良いのか」を判断できます。事前準備を段取り良く進めることで、よりスムーズに全体を進められるようになるのです。
とはいえ「自社だけでここまでの段取りは実現できない」と考えている方が多いのではないでしょうか。その場合、ぜひとも弊社のコンサルティングサービスをご活用ください。状況の把握から、移行の可否、コストの算出などの段取りを全面的にサポートします。また、導入後のAWS運用についてもお任せください。