Azure OpenAI Serviceとは?企業の生成AI活用を支えるサービスを解説

公開日:2024年10月3日最終更新日:

近年のAI技術の発展によってその活用の幅も広がり、AIに仕事を任せることが一般化されてきました。最近では大幅な性能向上を見せたAIモデルのGPT-4oが発表され、一段と注目を集めています。

企業でも自社の業務に則したAI活用が模索されていますが、AIモデルの学習やインフラ構築にはコストが掛かるため、導入や検証実験のハードルが高いことが課題となっています。

Azure OpenAI Serviceは、学習済みのAIモデルを簡単に扱えるようにしたクラウドサービスで、企業のAI活用の課題の解決に役立ちます。本記事では、Azure OpenAI Serviceの特徴や用途を解説していきますので、AI活用の参考にしてみてください。

Azure OpenAI Serviceとは

Azure OpenAI Service(以下、Azure OpenAI)は、生成AIをはじめとした実用的なAIモデルが扱えるAzureのプラットフォームサービスです。AIモデルの運用にはサーバー環境の用意やモデルの更新を続けていくことが必要で、ノウハウのない企業にとっては大きな負担となりますが、Azure OpenAIはその問題を解決します。

Azure OpenAIでは最新の生成AIモデルであるGPT-4oをはじめ、音声認識や画像生成など様々な用途に使えるモデルが、API経由ですぐに利用可能です。C#、Python、Java、JavaScriptなど様々なプログラミング言語用にSDKが用意されており、それ以外でもREST APIで簡単にアクセスできるようになっています。

また、使用されているAIモデルはChatGPTの提供元であるOpenAIと共同開発されており、ベースとなるモデルは常にバージョンアップされてます。AIモデルはAzure独自のプラットフォーム上に構築されており、企業向けのセキュアな環境での利用が可能です。

Azure OpenAI Serviceの特徴

Azure OpenAIは次の3つの特徴を持っています。

最新の生成AIモデルを使える

Azure OpenAIでは、用途に応じて選べる強力なAIモデルが用意されています。

  • 文章や画像を創造するGPT-4o、GPT-4 Turbo、GPT-3.5などの生成AIモデル
  • 多言語での音声の文字起こしができるWhisper
  • 画像生成に特化したDALL-E
  • 文章の分類や比較に役立つ埋め込みモデル

各AIモデルはすでに学習済みのため、特定の用途に向けたモデルでありながらも幅広く使うことができます。今後もOpenAIの技術発展と共に、新しいAIモデルやバージョンアップが期待できます。

セキュアな環境で機密情報を保護

セキュアな環境でAI機能を利用できるAzure OpenAIでは、組織から個人を問わず重要データを安全に運用できます。

OpenAIとは独立したAzureのプラットフォーム上に展開されており、エンドユーザーの入力や学習データがOpenAIに流れることはありません。さらに、AIモデルは顧客ごとに独立しているため、他の顧客のモデルに影響しない仕組みで、機密情報が守られた上で学習を行えます。

また、Azureとのプライベートな接続が利用できるメリットを享受できます。例えば、社内ネットワークとAzureサービスをプライベート接続することで、重要なデータを安全にAIモデルまで送ることができます。

低コストから始められる

Azure OpenAIはクラウド上に展開されたサービスで、サーバー環境を自前で用意することなくAI活用を始められます。AIモデルを利用した分だけ料金が発生する従量課金制のため、導入コストは必要ありません。そのため、スモールスタートや導入の検証にも適しています。

また、AIモデルを自社の業務に適応させることが容易です。データを使ってモデルを再構築する方法や、RAG(取得拡張生成)と呼ばれる柔軟な学習方法で、自社の業務に適用させる調整が行えます。特に、RAGは調整のためのコストが低く、最新のデータを取り込みやすいです。

Azure OpenAI Serviceの用途

Azure OpenAIは、業務の自動化や効率化に役立つ様々な用途で活用できます。提供する機能とモデルを選んで、下記のようなサービスを作成できます。

  • チャットボット:独自の学習データを利用してチャットによる問い合わせ対応を自動化
  • アシスタント:応答に独自の処理を組み込める
  • 文章生成:テキスト要約やメール作成などの文章の自動作成
  • 画像生成:サムネイルやバナー画像の作成
  • 文字起こし:議事録や電話対応の記録の自動作成

Azure OpenAI Serviceの利用料金

Azure OpenAIの利用料金は、使用した量に応じて支払う従量課金制です。無料枠はありませんが、初期コストがないため導入前のお試しから始めやすいです。また、AIモデルの種類やバージョンによって単価が異なります。

言語モデル入力
(1,000 トークンあたり)
出力
(1,000 トークンあたり)
gpt-4o-2024-08-06
Global Deployment
¥0.3613¥1.4452
GPT-4o-mini
グローバル デプロイ
¥0.02168¥0.0868
レガシ言語モデル入力
(1,000 トークンあたり)
出力
(1,000 トークンあたり)
GPT-3.5-Turbo-0301
(4K)
¥0.2891¥0.2891
GPT-3.5-Turbo-0613
(16K)
¥0.4336¥0.5781
アシスタントAPI入力
ファイル検索¥14.4516/日
※1日あたりのベクターストレージのGB
※1 GB無料
コードインタープリターセッションあたり ¥4.3355
画像モデル(米国東部)画質(解像度)価格(画像100件あたり)
Dall-E-3標準(1024 * 1024)¥578.061
Dall-E-3HD(1024 * 1024)¥1,156.121
音声モデル(米国中北部)価格
Whisper¥52.03/時間
TTS(テキスト読み上げ)¥2,167.73/100万文字
埋め込みモデル1,000トークンあたり
Ada¥0.014452
text-embedding-3-small¥0.002891

なお、上記の表は2024年9月時点の情報で、料金は1ドル144.515円換算で算出しています。

Azure OpenAI Serviceの使い方

ここからはAzure OpenAIの使い方を紹介していきます。Azure AI StudioでAIモデルを構築し、アプリケーションで利用します。

AIモデルのデプロイ

まずはAzureポータルにログインし、Azure AI Studioにアクセスしましょう。

続けて、「Azure OpenAI」をクリックし、「Azure OpenAIの作成」を選ぶと新規作成の画面に移ります。

作成できたら「Azure OpenAI Studioに移動する」を選びましょう。

そうすると、Azure OpenAI Studioの画面が表示されます。なお、2024年9月時点では新旧の両バージョンが混在していますが、今回は新バージョンの画面で説明していきます。

ホーム画面の「チャット」をクリックし、「新しいデプロイの作成」を選ぶと作成画面が表示されます。

作成したいAIモデルの種類を選べるので、今回は「gpt-4o」を選びます。その後は、入力項目を変えずにそのまま進めましょう。これでAIモデルを利用するための準備は完了です。

AIチャット機能の実装

using Newtonsoft.Json;
using System;
using System.IO;
using System.Net.Http;
using System.Text;
using System.Threading.Tasks;

class Program
{
    private const string API_KEY = "XXXXXXXXXXXXXX; // Set your key here
    private const string QUESTION = "Azureの特徴を簡潔に教えてください。"; // Set your question here

    private const string ENDPOINT  = "https://XXXXXXXX.openai.azure.com/openai/deployments/gpt-4o/chat/completions?api-version=2024-02-15-preview";
    static async Task Main()
    {
        using (var httpClient = new HttpClient())
        {
            httpClient.DefaultRequestHeaders.Add("api-key", API_KEY);
            var payload = new
            {
                messages = new object[]
                {
                  new {
                      role = "system",
                      content = new object[] {
                          new {
                              type = "text",
                              text = "You are an AI assistant that helps people find information."
                          }
                      }
                  },
                  new {
                      role = "user",
                      content = new object[] {
                          new {
                              type = "text",
                              text = QUESTION
                          }
                      }
                  }
                },
                temperature = 0.7,
                top_p = 0.95,
                max_tokens = 800,
                stream = false
            };

            var response = await httpClient.PostAsync(ENDPOINT , new StringContent(JsonConvert.SerializeObject(payload), Encoding.UTF8, "application/json"));

            if (response.IsSuccessStatusCode)
            {
                var responseData = JsonConvert.DeserializeObject<dynamic>(await response.Content.ReadAsStringAsync());
                Console.WriteLine(responseData);
            }
            else
            {
                Console.WriteLine($"Error: {response.StatusCode}, {response.ReasonPhrase}");
            }
        }
    }
}

コード内のAPI_KEYENDPOINTは、Azure OpenAI Studioで確認してコピーしておきます。そして最後に、アプリケーションを実行してみましょう。

dotnet run program.cs

アプリケーションを実行すると、下記のような出力結果の文字列が得られます。

コード内のAPI_KEYENDPOINTは、Azure OpenAI Studioで確認してコピーしておきます。そして最後に、アプリケーションを実行してみましょう。

dotnet run program.cs

アプリケーションを実行すると、下記のような出力結果の文字列が得られます。

入力"Azureの特徴を簡潔に教えてください。”
出力結果:
Azureは、Microsoftが提供するクラウドコンピューティングサービスで、以下の特徴があります:

多様なサービス: 仮想マシン、データベース、ストレージ、AI、機械学習、IoTなど幅広いサービスを提供。
** グローバルなリーチ**: 世界中にデータセンターを展開し、高い可用性と低遅延を実現。
スケーラビリティ: 必要に応じてリソースを柔軟にスケールアップ・スケールダウン可能。
セキュリティとコンプライアンス: 高度なセキュリティ機能と多くの業界標準に準拠。
ハイブリッド環境サポート: オンプレミスとクラウドをシームレスに統合できるハイブリッドクラウドソリューションを提供。
コスト効率: 使用した分だけ支払う従量課金制を採用し、コスト管理がしやすい。
これらの特徴により、Azureは企業のITインフラを効率的にサポートします。

まとめ

Azure OpenAI Serviceは、学習済みのAIモデルを低いコストから利用でき、企業のAIサービスの構築に向いていたクラウドサービスです。Q&Aチャットボットや議事録の自動作成など業務効率の改善につながるサービスを作成できます。

また、新規サービスの試作にも適しているので、AI活用にお悩みの方はぜひ検討してみてください。

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