公開日:2024年7月1日最終更新日:
EC2のインスタンスタイプは非常に多くあり、どれを選択すれば良いのか悩んでしまう人が多いでしょう。それぞれに特徴があり公式サイトで解説されていますが、自身で細かく判断する作業は難しいはずです。最終的にはどれを選択すれば良いのか判断できず、大まかな知識で選択してしまうこともあるでしょう。
しかし、EC2のインスタンスタイプは性能やコストを左右する部分であり、誤った選択は大きな問題に繋がりかねません。これを解決するために、AWSからAIを活用したインスタンスタイプのアドバイス機能がリリースされたため、これについて解説します。
目次 <Contents>
Amazon Qとの組み合わせた機能でアドバイス
EC2のインスタンスタイプを選択するためのアドバイス機能として、Amazon Qを活用したものが提供されました。内部的にはAmazon Qということもあり、AIを軸としたアドバイス機能です。いくつかの質問に答えることによって、どのインスタンスタイプを選択すれば良いのか示してくれるようになっています。
選択の観点としては「Workload type」「Use case」「Priority」「CPU manufacturer」が用意されていて、これらについて用意された選択肢で答えなければなりません。AIを利用した機能ではありますが、自由に回答できるわけではなく、選択肢が設けられています。
なお、以下で使い方を解説しますが「アドバイスを受ける」というリンクは日本語化されているものの、実際に表示されるポップアップは日本語化されていません。質問や選択肢は全て英語であるため適切なものを選択するようにしましょう。誤ったものを選択してしまうと、アドバイス機能の意味が薄れてしまいます。
EC2インスタンスタイプを選択する際のアドバイスの受け方
続いては、EC2のインスタンスを起動する際に、アドバイスを受けるための方法を解説します。
「アドバイスを受ける」ポップアップの起動
EC2インスタンスの選択についてアドバイスを受けるためには「アドバイスを受ける」ポップアップを起動する必要があります。起動方法は2種類ありますが、起動される内容はどちらも変わりありません。
EC2インスタンス起動画面
テンプレートからインスタンスを起動画面
ポップアップの表示
上記のとおりリンクをクリックすると、アドバイスを受けるためのポップアップが起動します。こちらの質問に答えることで、どのインスタンスタイプを選択すれば良いのかアドバイスしてもらえる仕組みです。なお、それぞれの選択肢がどのような用途を想定しているかは、AWSからも具体的に示されていません。そのため、現時点では「概ねどのような用途を想定しているか」という観点で選択するものであると理解しましょう。
最初に、EC2のワークロードタイプについて選択します。Webサーバなど一般的な用途はもちろん、深層学習やデータウェアハウス、SAPなど特定の製品についての選択肢も用意されています。選択肢の粒度は大きな差がありますが、主な用途に最も近いものを選択してください。
続いて、ユースケースを選択します。ワークロードタイプを踏まえて、いくつもの選択肢が用意されているため、それらから選択しましょう。なお、ワークロードタイプによってユースケースの選択肢が変化するため、先にワークロードタイプを選択することが重要です。
例えば「Web/App Server」を選択すると、ユースケースの選択肢は以下の通り表示されます。
続いて「SAP」を選択すると、ユースケースの選択肢は以下の通り表示されます。
ワークロードタイプによって選択肢に変化があるため、先にユースケースを選択してしまうと、ワークロードタイプの選択時にリセットされます。
ユースケースまで選択したならば、続いてはコストとパフォーマンスの優先順位を選択します。標準では両立させる「Price/Performance」が選択されていますが、どちらかを重視するならば別の選択肢を選びましょう。どのような目的でEC2を起動するかによって、選ぶべき選択肢は変化するはずです。重要な部分であるため、よく考えるようにしてください。
最後に、CPUを選択できるようになっているため、こちらも確認が必要です。特にこだわりを持っていない人は多いと思われますが、何かしら条件があるならば選択しておきましょう。例えば、全体の構成がインテルのCPUを前提としているならば、「Intel」の選択肢を選ばなければなりません。こだわりがある人に向けたオプション的な選択肢であると理解しても良いでしょう。
必要に応じてパラメータ設定を追加
基本的には上記で解説した4つの項目に答えるだけで、適切なインスタンスをアドバイスしてもらえます。ただ、更なる追加のパラメータも準備されているため、より細かな条件でインスタンスタイプを指定したいならばこちらも選びましょう。具体的にはCPUのコア数の上限と下限、メモリ容量の上限と下限などを設定できます。
これらの値はインスタンスタイプに大きく影響する可能性があり、コストにも関わる部分です。例えば、基本的にCPUのコア数とメモリ容量には一定のルールがありますが、特定の条件下では巨大なメモリが必要であり、特殊なインスタンスタイプを選択することが求められます。これは一例ですが、一般的には想定されていない用途に利用するならば、必ず選択するように心がけましょう。
ワンクリックでアドバイスを表示
必要事項の入力が完了したならば「Get instance type advice」をクリックします。
同時に回答を生成する画面が表示されるため待機しましょう。ただ、実際に利用した結果を踏まえると、選択肢を問わず、回答の生成時間は一瞬でほとんど待機時間はありません。
基本的には複数のインスタンスタイプが示されるため、実際に構築する際は、それらから選べば良いでしょう。複数の選択肢からどれを選べば良いかは、比較ポイントが示されるため、それに目を通すと確認できます。例えば、コストパフォーマンスがどのように違うかなどを踏まえて、どのインスタンスタイプを選ぶべきであるか解説してくれます。
機能はマイナーアップデートが実施されている
こちらのアドバイス機能を評価した2024年6月頭は、ワークロードタイプに応じてユースケースの選択肢が変化しませんでした。その代わり、ワークロードタイプとユースケースの組み合わせが悪いと、推奨されるインスタンスタイプが表示されなかったのです。該当するインスタンスタイプがないことが画面で説明されていました。
しかし、現在は解説したとおりワークロードタイプに応じて、ユースケースの選択肢が変化するようになっています。また、以前に表示されていたような「該当なし」の案内も確認できなくなりました。利便性が高まるアップデートではあるものの、この変更についてはリリースが出ていません。内部的にサービスのアップデートが実施されているため、この点については、この先も留意しておく必要があります。
まとめ
EC2のインスタンスタイプについてアドバイスを受けられる新機能について解説しました。種類が多く、個人での判断には悩んでしまう部分であるため、AIによるサポートを受けて適切なものを選べるようになりましょう。
本文でも少々触れましたが、リリースされて間もない機能であり、内部的にアップデートが実施されています。タイミングや詳細についてはリリースされていないため、皆さんが利用する際には少々変化があるかもしれません。念のためによく確認してから利用するようにしてください。