公開日:2021年10月15日最終更新日: 2022年9月16日
クラウドと一口に言っても、利用形態によって主にIaaS・PaaS・SaaSと3タイプに分けることができます。
提供するサービスのレイヤー(階層)の違いによって異なってくる、この3つのクラウドの違いとそれぞれの特徴、メリット・デメリットなどについて説明します。
目次 <Contents>
クラウド上の提供サービス「IaaS・PaaS・SaaS」とは
IaaS・PaaS・SaaSとは、クラウドは事業者が提供する範囲の違いを指しています。「○○aaS」とは「サービスとしての○○」という意味になり、どこまでのサービスを利用するかによって呼び方が異なってきます。
一般的にクラウドといえば、SaaSを指すことが多いのですが、利用形態によって、アプリケーションはユーザーが用意したり、ミトルウェアやOSはユーザーが用意したりするといった場合には、PaaSやIaaSを利用することになります。
最近では、クラウドを利用して仮想デスクトップを実現するDaaS(Desktop as a Service/デスクトップ・アズ・ア・サービス)と呼ばれるものなど、「○○aaS」と呼ばれるクラウドサービスがいくつも現れています。
とりあえずは「IaaS・PaaS・SaaS」の3つを憶えておけばいいでしょう。
IaaSとは
IaaSとは、「Infrastructure as a Servic/インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス」の頭文字を取った略語のことであり、読み方は「イァース」となります。
ネットワークやサーバーのCPUやストレージ、メモリといったコンピューターのリソースだけ、いわばインフラ部分だけをクラウド利用する形態です。最近では、データセンターのサーバー台数を減らしたりなくしたりするためにIaaSが活用されています。
ホスティングとサービス内容はほとんど変わりませんが、サーバーのスペックやOSなどについてユーザー自身で自由に選定できるといった特徴があります。
IaaSの代表的なサービスとして、マイクロソフトが提供しているMicrosoft Azure (VirtualMachine)、アマゾンが提供しているAWSの Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)や、Googleが提供しているGCP(Google Cloud Platform)のGCE(Google Compute Engine)が挙げられます。
IaaSのメリット・デメリット
IaaSはユーザー側で調整できる範囲が広く、オンプレミスでサーバーを運用していたのでしたら、そこでの知識やノウハウを活かすことができます。オンプレミスの場合、ゼロから構築しなければいけませんが、構築済みのインフラを利用できるというメリットがあります。
OSについてもユーザー側で選ぶことができるので、自由度の高いこともIaaSのメリットとなります。
反面、SaaSやPaaSと比べてソフトウェアのインストールや構築、システムのメンテナンスなど、管理コストが高くなり、セキュリティ対策についても自社で行わなければいけません。
PaaSとは
PaaSとは、「Platform as a Service/プラットフォーム・アズ・ア・サービス」の頭文字を取った略語のことであり、読み方は「パース」となります。
主にアプリケーションの開発者向けのサービスになっており、アプリケーション開発のためのプラットフォーム(データベースなどのミドルウェア、OS、ハードウェア)をクラウド事業者が提供する形態です。
PaaSを利用することで、アプリケーション開発者はミドルウェアの運用管理にリソースを取られることがなくなります。
PaaSの代表的なサービスとして、マイクロソフトが提供しているMicrosoft AzureのApp ServiceやAmazonが提供しているAWS(Amazon Web Service)のElastic Beanstalk、Googleが提供しているGCP(Google Cloud Platform)のGAE(Google App Engine)などが挙げられます。
PaaSのメリット・デメリット
アプリケーション開発に必要となるミドルウェアやOS、ハードウェアといった環境をクラウド事業者側が用意しているので、開発環境を整えたり管理をしたりする必要がなく、アプリケーションの開発に集中できるようになることがPaaSのメリットでしょう。
ただし、使用できるプログラミング言語やデータベース、OSの設定などはクラウド事業者側があらかじめ設定しています。そのため、ユーザー側で自由に環境を選べないということがデメリットとなります。
SaaSとは
SaaSとは「Software as a Service/ソフトウェア・アズ・ア・サービス」の頭文字を取った略語のことであり、読み方は「サース」となります。以前ではパッケージ製品として提供されていたソフトウェアやアプリケーションの機能をクラウド上で利用することを意味しています。
ソフトウェアやアプリケーションの機能をクラウド利用するということは必然的に、そのレイヤーの下のミドルウェアやOS、ハードウェアも含めクラウド事業者が提供することになります。
SaaSとしてわかりやすいサービスは、Googleが提供しているWebメール「Gmail」やオンラインストレージサービス「Googleドライブ」、スケジューラーである「Googleカレンダー」などが挙げられます。企業向けのSaaSであれば、グループウェアであるGoogle Workspace(以前はG Suiteと呼ばれていました)、CRMなどを提供しているSalesforce(セールスフォース)が代表的です。
SaaSは既に一般にも広く普及をしており、数多くのサービスが存在しています。誰もが知らずに使っているクラウドがSaaSだといえるかもしれません。
SaaSのメリット・デメリット
SaaSを使うメリットは、サービスの利用をすぐにスタートできることです。Web上から初期設定を行うことで、申し込みしてからすぐに利用を開始できます。アプリケーションのバージョンやセキュリティ対応についても、クラウド事業者側で常に最新の状態に保っています。
また、クラウド事業者がハードウェア部分からアプリケーション部分まで提供しているため、ユーザー側での運用や保守を行う必要がないこともメリットです。そのため、管理コストを低く抑えることができるでしょう。
逆にデメリットとしては、アプリケーションの仕様などはクラウド事業者が決めているため、柔軟にカスタマイズ対応ができず、要件に合わない場合にはSaaSに合わせて業務を変えていく必要があります。
まとめ
クラウドには、クラウド事業者が提供する範囲の違いによって、主にIaaS・PaaS・SaaSの3つのサービスがあることを説明しました。一般的にクラウドといえばSaaSをイメージするかもしれませが、企業の事業内容によってはIaaSやPaaSも多く利用されています。
「自社がクラウドをどう活用していくか」や「自社サービスにはどんな機能を必要としているか」により、IaaS・PaaS・SaaSを使い分けていくようにしましょう。