コンテナベースのWebアプリ構築環境「Web App for Containers」の特徴や使い方を解説

公開日:2025年4月15日最終更新日: 2025年4月15日

コンテナ技術を活用してアプリケーションをパッケージ化することで、システムの保守性や可用性を高めることができるため、インフラ環境の選択肢として多く利用されています。

Azureでもコンテナを扱う様々なクラウドサービスが提供されており、中でもWeb App for ContainersはWebアプリケーションを素早く展開することに長けたインフラサービスで、コンテナのメリットを発揮できます。

今回はWeb App for Containersが優れている点や他のコンテナサービスとの違いを紹介していきます。

Web App for Containersとは

Web App for Containersは、コンテナで作られたWebアプリケーションを素早く展開できるAzureのインフラサービスです。インフラ環境はAzure App Serviceのサービスがベースとなっており、Webアプリケーションの運用に必要な環境が備わっています。

  • WindowsまたはLinuxのプラットフォーム
  • ドメインやサーバ証明書の管理機能
  • 自動スケーリング機能

仮想サーバーの割り当てや細かい設定が不要で、Azureポータルやコマンドなどを使えば簡単にWebアプリケーション環境を用意できるのが特徴です。インフラ側では特別な設定は行わず、アプリケーションに依存する内容はほとんどコンテナ側に集約することになるため、管理が容易になるメリットもあります。

サービス単体だけでもWebアプリケーションの公開は可能ですが、Azureポータルから他サービスと簡単に連携ができ、規模や環境の変化に応じて柔軟に拡張できます。

  • Azure Container Registryからのコンテナイメージの配置
  • Azure Storageなどのストレージサービスへのファイル保管
  • Azure SQL Databaseなどのデータベースへの接続
  • Azure Monitorによるログの収集や監視
  • Azure PipelinesやAzure DevOpsを使用したCI/CD環境の構築
  • Azure Private Linkなどを利用したプライベートネットワーク接続

Web App for Containersは複雑なシステム構成を採らない小中規模向けのWebアプリケーションの構築に適した管理プラットフォームを提供します。

Web App for Containersの特徴

Web App for Containersは次の特徴を備えています。

コンテナで作られたWebアプリを素早く展開

Web App for Containersでは簡単な操作だけでWebアプリケーションを展開できます。

仮想マシンサービスのようにサーバー設定は不要で、サーバーリソースのスペックとOSを選ぶだけでWebアプリケーション環境を構築できます。また、Azureが持つ既定のドメインとグローバルIPアドレスが付与されるため、特別なネットワーク設定をすることなくすぐに公開可能です。そのため、動作環境だけが必要となるテスト環境やプロトタイプなどの用途にも適しています。

アプリケーションは、Azure Container RegistryやDockerHubなどにコンテナイメージとして登録しておけば、それらを経由してAzureのプラットフォーム上に配置が可能です。

処理負荷に応じた自動スケーリング

Web App for Containersには、急なアクセス増加に耐えるためにサーバーリソースを拡張する自動スケーリング機能が備わっています。

アプリケーションの用途によっては、アクセスが不定期だったり、一定時間に集中したりして、サーバーリソースのスペックを固定化しにくい場合があります。Web App for Containersでは、スケーリングのルールを決められるので、サーバーリソースが使用されない時間を短縮でき、運用コストを削減できます。

他のAzureコンテナサービスとの違い

Azureには他にもコンテナを扱えるサービスがありますが、Web App for Containersとは用途が異なります。

Azure App Service

Webアプリケーションの実行環境を提供するインフラサービスで、Web App for Containersのベースにもなっています。各種プログラミング言語やフレームワークが用意されており、アプリケーション実行環境を素早く構築できます。なお、コンテナではなく、ローカルのGitやGitHubからアプリケーションコードを配置する仕組みです。

Azure Container Apps

コンテナで構成されるアプリケーションを構築するためのインフラサービスです。コンテナ化された個別の部品を組み合わせて1つのアプリケーションを構成するようなマイクロサービスの構築に適しています。

Azure Container Registry

コンテナイメージを保管しておくためのコンテナレジストリサービスです。Web App for Containersと繋げることで、コンテナイメージをAzureのプラットフォーム上にプルして配置することができます。

Web App for Containersの利用料金

Web App for Containersは利用時間に応じて料金が変動する従量課金制のサービスです。利用料金は選択したプランとOSによって異なります。下記では一部のプランを示しています。

Freeプラン

プラン名コア数メモリストレージLinux料金Windows料金
F160CPU分/日1GB1GB0円0円
D1240CPU分/日1GB1GB2.288円/時間
※1サイトごと

Basicプラン

プラン名コア数メモリストレージLinux料金Windows料金
B111.75GB10GB2.841円/時間13.232円/時間
B223.5GB10GB5.532円/時間26.463円/時間
B447GB10GB10.914円/時間52.925円/時間

Premiumプラン

プラン名コア数メモリストレージLinux料金Windows料金
P0v314GB250GB14.054円/時間26.014円/時間
P1v328GB250GB28.107円/時間52.028円/時間
P2v3416GB250GB56.214円/時間104.056円/時間
P3v3832GB250GB112.428円/時間208.111円/時間
P5mv316256GB250GB539.654円/時間922.387円/時間

Environmentプラン

プラン名コア数メモリストレージLinux料金Windows料金
l1v228GB1TB62.643円/時間86.713円/時間
l1mv2216GB1TB84.321円/時間108.392円/時間
l2mv2432GB1TB168.642円/時間216.783円/時間

なお、上記の表は2025年3月時点の情報で、東日本リージョンでの料金を1ドル149.505円換算で算出しています。その他のプランや最新の料金についてはAzure公式サイトの価格ページをご参考ください。

Web App for Containersの使い方

ここからはWeb App for Containersを使ったWebアプリケーション構築の手順を紹介していきます。

サンプルWebアプリケーションの構築

Azureポータルにログインし、サービス一覧のカテゴリから「コンピューティング」を選び、「App Services」を選択しましょう。

App Servicesの画面に遷移したら、「作成」から「Webアプリ」を選択します。

続けて作成画面では、下記の項目を入力していきましょう。

  • サブスクリプション
  • リソースグループ
  • Webアプリ名(ドメインのホスト名)
  • 公開:コンテナ―
  • オペレーティングシステム:Linux
  • リージョン:Japan East
  • 価格プラン:Free F1

次にコンテナータブに移り、イメージソースで「クイックスタート」を選び、「確認および作成」を押しましょう。最後に「作成」を押します。

以上の手順でサンプルのWebアプリケーションが配置されます。自作のコンテナを使いたい場合は、Azure Container RegistryやDockerHubなどにプッシュしてからイメージソースで選択しましょう。

Webアプリケーションの動作確認

リソースの一覧から上記で作成したWebアプリケーションの画面に移り、「状態」を確認しましょう。起動していなければ、「再起動」や「更新」を押してしばらく待ちます。

続いて、同じ画面で「既定のドメイン」をクリックして、Webアプリケーションが動作しているか確認してみましょう。

下記のようなページが表示されれば成功です。

このように、Web App for Containersでは画面で入力していくだけでWebアプリケーションのコンテナを配置することができます。

まとめ

Web App for Containersは、コンテナ化されたWebアプリケーションを素早く簡単にリリースできる機能を備えたプラットフォームサービスです。

Webアプリケーションの運用に必要な機能を備えつつ、規模の拡大に備えた拡張性も持ち合わせており、プロトタイプ開発やスモールスタートなど様々な用途で活用できます。コンテナ化は開発や運用に様々なメリットをもたらしますので、新規開発の環境として採用を検討してみてはいかがでしょうか。

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